平成23年1月30日(日)
「一念発起・一味・醍醐味」
http://www.youtube.com/watch?v=cf_LDds3vKI
一念発起(いちねんほっき)
「一念発起して何々をはじめた」などと使い、一般的には新しい何かをやろうとすることを表現していますが、本来は立派な仏教語であります。
一念とはきわめて短い時間をいい、発起とは発起菩提心の略であります。つまり仏の教えを聞いている内に、ひらめきを得て一瞬の内に菩提心をおこすこと、菩提心とはさとりを求め、仏道を行なおうとする心のことで、大乗仏教ではさらに人の為、世の為に尽そうとする願いが付加して考えられております。
南禅寺の周信禅師は「一年の計は殻を植ゆるにあり、十年の計は樹を植ゆるにあり、百年の計は徳を植ゆるにあり、人の最も植ゆるべきは徳なり」という言葉を残されております。
一味(いちみ)・醍醐味(だいごみ)
一味というと今日では「泥棒の一味」などと悪い方にしか使われておりませんが、本来は仏教的に深い意味のある言葉です。
一味とは海の水がどこも同じ味であることから真実絶対の立場で見ればすべてが平等であるということ、そして仏教という大海ではその教えが時や人に応じて多種多様であっても皆同じであることをいっております。
醍醐味とは仏法を乳製品にたとえてインドでは牛乳を精製する過程で五味の内最高の製品をいい、仏法をそれにたとえていっています。
大本山護国寺貫首 岡本永司