平成22年2月13日(日)

「両舌・二枚舌」


http://www.youtube.com/watch?v=94wkpxAF8Pk


 仏教の十のいましめ即ち十善戒の中に不両舌という戒が示されています。いわゆる二枚舌を使ってはいけないということであります。

 此の事について仏教説話の中で面白い話がのっております。昔インドの山奥で獅子(ライオン)と虎が仲良く暮らしておりました。それぞれ住みかは違っていても、食物は常に一緒に分けあって食べておりました。そこへある時やせ細った山犬がやって来て、どうか自分も仲間に入れてくれるように頼んだのです。

ライオンと虎はその申入れを受入れることにしました。ライオンと虎のおかげで山犬はいろいろな肉を腹一杯食べられるようになりました。
 ところが最初の内は山犬は大変感謝をしていたのですが、ある時こんな事を考えました。「毎日おこぼれで食べる肉はもうあきあきした。今度はライオンや虎の肉を食べてみたいものである」そこで悪知恵を働かせてライオンと虎を喧嘩させて相打ちにさせ倒れたところで両方の肉をいただこうと考えつきました。
 そして山犬はライオンと虎の両方の所に行ってそれぞれに互いに相手の悪口をいっていると伝えました。ところが一向に両者が争う気配がありません。ライオンと虎は互いに信じ合っているので、そんな山犬の嘘をはじめから見破っていたのです。山犬は仲間から追出され、もとのあわれな姿になってしまいました。

 このように人の仲を裂く言葉を言ったり告口をしたりすることをバイシュニャと言い、両舌と漢訳されこれを俗に二枚舌と申しております。
 私たちは勿論二枚舌を使うことなく、又人の二枚舌に迷わされることなく、真実を見きわめる智慧をみがいて参りましょう。

大本山護国寺貫首 岡本永司