平成23年3月27日(日)

「苦について」

http://www.youtube.com/watch?v=SJGV2Jtl8AU

http://www.youtube.com/watch?
v=Nt42Rg2a2PU&feature=related 

 

苦という字は音読では「く」訓読では「にがい」と読まれます。苦によって表現される言葉を音読では苦心、苦労、苦痛、苦行、貧苦などがあり訓読では苦手、苦味、苦虫などと使われております。

このような苦という意味を辞典では損悩逼迫の儀とか身心を逼迫して不快なる状態などと出ております。即ち精神面、物質面にわたって私達人間に及ぼす苦痛や悩みをいい、人生に於ける様々な障害や不快な状態を申しております。私達が生活して行く上でこうした苦しみ悩み悲しみなど思うようにならないことが次々に生じて来ることは皆様ご承知の通り避けられない現象であります。

この事を御釈迦様は「人生は苦なり」と申され、仏教の根本思想を表す一つとして「一切皆苦」と説いております。仏教は何故私達はこうした「苦」を受けなければならないのか、その理由や根拠を問いつめ更にそこから脱れる道を説き自らにふりかかる避けられない苦を尊い経験としてそれを土台として人生を強く生きて行くすべを示しております。この苦について経典では
内苦(自分の身心より起きる苦)
外苦(外界からの作用によって起きる苦)
苦苦(不快なものから受ける苦)
壊苦(好きなものがこわれて行く苦)
行苦(万物が変るのを見て起きる苦)
その他人間として生きて行く上に必然的に起きる生・老・病・死などがこまかく説かれております。

以上私達が経験する苦は内面より起きるもの、外界より起きるものとの二つに大別されますが、いずれにしても私達人間は苦即ち思うようにならないことの多い存在であることをしっかりと認め、その上に立って心のあり方、日々の生き方を定めて参りたいものであります。

大本山護国寺貫首 岡本永司