平成23年4月17日(日)

「他山の石」

http://www.youtube.com/watch?v=Xa7uCu5wTXQ 

 詩経に「他山の石をもって玉を攻むべし」とあります。
この「攻むべし」というのは「磨き上げなさい」ということで、よその山で取れた石でも、玉を磨く時の砥石にしなさいということを申しております。

現在よく云われている「他山の石」と同じことで他の人の言動でも自分の言動の参考にすることが出来るという意味になります。華厳経という仏典に有名な善財童子の物語が出ております。

童子(青年)が悟りを求める旅の中で五十三人のさまざまな職業の人達を訪ねて行くということで、ここから東海道五十三次の宿場が出来たもとになっているといわれております。

善財童子は歴訪する凡ての人々からいろいろな教えや有り方を学びました。
即ち海で魚をとる仕事の漁師を訪ねては海の不思議な力や姿から得た教えを開き、人の病気を看る医者からは人の生命の不思議や身体のこと、そして患者に対する慈悲の心を学び、長者(有徳な人)からは、凡ゆる人や物は皆それなりの価値を有していることを教えられ、また気高い心の婦人に会ってはその奉仕の精神にうたれ、身を粉にして働く農家の人にあっては自然の働きの偉大さや物をつくる苦労を教えられました。

このように童子はその気になり心さえあれば、目の見えるところ、耳のきこえるところ、いたるところにそれぞれすばらしい世界のあることを知り、やさしい心の人に会っては、ものに従う心の智慧をさとり、それを自分の求道に活かすことが出来たということであります。

私たちはどうも他の人の言っていることや、行っていることをあまり自分の為の参考にしない傾向があります。華厳経は善財童子の物語をかりて、だれにもある長所を取入れそれを自分の生き方の中に採り入れ、すばらしい人生を展開すべきことを説いておるのであります。
 

大本山護国寺貫首 岡本永司