平成23年6月26日(日)

「義理・人情」

 
http://www.youtube.com/watch?v=qEfu7RQML98

 

この頃は義理も人情もない時代といわれております。義理がすたれ、人情がうすくなれば世の中は渡りづらくなりますし、また義理・人情の板ばさみになってもまた苦しいものであります。
この義理ですが、本来は物事の道理、正しい筋道をいう言葉で、経典はしたがってこの義理を説いたものであると言えます。義理は人の踏み従うべき道といえますが、それが様々な人間関係で人が他人に行わねばならないことを指すようになり、更にいやでもしなければならないことを「お義理」というようにさえなりました。
一方人情は本来人間的な心の迷いをいっており、世間的なものに囚われる人間的な思慮分別の迷いを言ったものであります。それが「人間味、人間らしい」と意味が変わり、いつか人情はよい意味に用いられるようになりました。人情味のある人は良い人、人情に厚い土地は住みよいところと受取られるようになりました。
このように言葉は生きものですから、いつか正反対の意味になったりすることが多いようです。いずれにしても私達は義理を見極め、人情のいかなるものかを知って迷いの生活を送ることのないようにしたいものであります。
夏目漱石は草枕の中で、「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ、とかく人の世は住みにくい」といっておりますが、智情意も、義理人情もほどよくあるのが最もよいといえます。まずは自分の心を調整して、ほどよいものとするよう管理していくことが大切なようであります。

 

大本山護国寺貫首 岡本永司