「忍 土」 

 

 お釈迦さまは私たちの住む此の世(娑婆世界)は自分の思うようにならないこと、願うようにならないことが多く苦しみに満ちているとして仏教の大切な教えの一つとして「一切皆苦」と申されました。

二千五百年前の時代も現代もこの真理、この有様は全く変わりません。否むしろ現代のように科学技術が発展し人間生活が複雑化していくにつれてこの苦は根本的な苦をもたらす生・老・病・死の四苦を含めて更に深く広がって来ているように思われます。このように私たちが生きて行く上で様々な苦難や困難、悲しみを受けて行く定めであるとする此の世を仏教では忍土と申しております。

限り無い苦難に打ちひしがれることがなく、それに耐え忍ばざるを得ないのが人の世の定めであるとしっかりと悟ることで覚悟が出来、一切の苦を乗り越えて行く力が養われるのであることを教えておられるのであります。

大本山護国寺貫首 岡本永司